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債権法改正①(改正の経緯と概要)

 

1 はじめに

2017年5月に約120年ぶりに民法(債権法の部分)が大きく改正され、一部を除き、2020年4月1日より施行されています。

そこで、本弁護士コラムでは、今後「債権法改正5連載」として、今回の改正の中でも一般の方々に関係することの多い、①保証人の保護に関する改正点、②法定利率に関する改正点、③消滅時効に関する改正点、④実務ルールの明文化に関する改正点の4つのテーマに焦点をあわせて、解説していきたいと思います。

その第1弾として、今回は「民法改正に至る経緯」と「民法改正の概要」について解説します。

2 民法改正に至る経緯について

民法が最初に施行されたのは、1898年の明治時代のことになります。その後、明治時代から現在まで、家族法の部分では戦後の家(長)制度の廃止などの大規模な改正がありましたが、債権法の部分においては、小幅な改正はなされたものの、大規模な改正はされてきませんでした。

このように、明治時代と現在とでは、生活様式や価値観が大きく変わったにもかかわらず、その環境の変化に民法が対応できていない状況が続いていました。

そのような状況を改善するため、民法の一部(債権法)を改正する法律案が2015年3月に国会に提出され、2017年5月26日に可決・成立し、同年6月2日に公布されました。そして、改正部分は、一部の規定を除き、2020年4月1日から施行されることになりました。

3 民法改正の概要について

それでは、一般の方々に関係することの多い、①保証人の保護に関する改正点、②法定利率に関する改正点、③消滅時効に関する改正点、④実務ルールの明文化に関する改正点について、簡単に解説したいと思います。

(1) 保証人の保護に関する改正点(民法465条の2、465条の6など)

今回の改正では、保証人が不測かつ過剰な債務を負担することがないように配慮された改正がなされています。

例えば、極度額(保証人が支払責任を負う金額の上限のこと)の定めのない個人の根保証契約は無効になりました。

また、個人が事業用融資の保証人になる場合には、例外規定はあるものの、公証人による保証意思確認の手続(新設)を経る必要があるとされました。

(2) 法定利率に関する改正点(民法404条)

利息は、当事者間で自由に定めることもできますが、利率について別段の意思表示のない場合には、法定利率によって利息を算定することになります。

改正前の民法では法定利率は年5%とされ、商業行為については商法で年6%とされていました。この金利は、現在の銀行預金などと比較しても感じるように、非常に高利率であることが指摘されていました。

そこで、今回の改正では、法定利率を一律に年3%に引き下げ、市中の金利動向に合わせて3年ごとに自動的に変動させる制度が導入されました。なお、債権の存続中に法定利率が変動したとしても、適用される法定利率は、最初に利息が生じた時点における利率によるものとし、変動しないものとされました。

(3) 消滅時効に関する改正点(民法166条以下、724条以下)

  • 消滅時効とは、ある権利が行使されない状態が継続(一定の期間が経過)した場合に、当事者(時効の利益を受ける者)の主張によって、その権利の消滅を認める制度です。

    改正前の民法では、債権の消滅時効の時効期間を原則10年としつつも(旧法167条1項)、商業行為によって生じた債権については時効期間を5年とする商事消滅時効(旧商法522条)が適用されるなど、時効期間がまちまちで分かり難いという問題点がありました。

  • 改正後の民法では、時効期間がおおむね統一され、(1)債権者が権利を行使できることを知った時から5年、(2)客観的に権利を行使することができる時から10年という2つの期間を併用し、原則として、いずれかの時効期間が満了すれば消滅時効が完成するという制度(改正法166条1項)が採用されるとともに、商事消滅時効などは廃止されました。

  • また、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、改正前の民法の期間が維持され、原則として、(1)被害者が損害および加害者を知った時から3年、(2)不法行為の時から20年とされました(改正法724条)

  • なお、人の生命・身体を害する債務不履行や不法行為については、債務不履行の場合には上記イ(2)が20年(改正法167条)、不法行為の場合には上記ウ(1)が5年(改正法724条の2)と、それぞれ消滅時効期間が延長されて、被害者の保護に厚くなりました。

(4) 実務ルールの明文化に関する改正点

また、今回の改正では、裁判や取引の実務で通用している基本的なルールになっているもので、民法の条文には明記されていなかったものを、明文化する改正も多数行われています。

例えば、意思能力(判断能力)のない状態で行った法律行為(取引行為など)は無効であることや、借家の賃貸者契約における敷金制度などについては、改正前の民法には規定がなく、判例や実務などで確立してきたものでしたが、それらが今回の改正で民法に明文化されたのです。

4 さいごに

次回以降の弁護士コラムでは、今回は簡単にご紹介しました上記3の(1)~(4)の改正点について、更に掘り下げて解説していこうと思います(なお、本弁護士コラムでの解説は、平成29年民法改正を網羅的に解説したものではなく、ご説明できていない改正点も多数ありますので、ご注意ください)

弁護士会の法律相談センターでは、様々な法律問題に対してご相談を受け付けていますので、民法改正に関するものに限らず、貸金のことや相続のことなど、法律問題で心配事がございましたら、法律相談センターにご相談ください。

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