弁護士コラム

子どもの意見表明権(「九弁連大会シンポジウム」テーマ)

2022年10月28日(金)午前9時より、リーガロイヤルホテル小倉にて、九州弁護士会連合会シンポジウム「ねぇ、きいてっちゃ!~子どもの声と多様な学び~」が開催されます。

本シンポジウムでは、子どもにとって身近な社会である学校に焦点を当てつつ、子どもの現状や課題を見つめ、「子どもの権利」について考えます。

そこで、本コラムでは、「子どもの権利」について、簡単にご紹介します。

第1 子どもの権利条約

子どもであっても、おとなと等しく権利が保障されています。

他方、子ども、特に幼少期の子どもは、肉体的にも精神的にも成長発達段階であることから、歴史的に弱い立場に置かれてきました。そのため、子どもを特に「保護」しなければならないという社会的要請がありました。

そこで、1989年、子どもの包括的な権利を定めた「子どもの権利条約」が国連で採択され、1990年に国際条約として発効しています。これに対して、日本は、1994年に同条約を批准・発効しました。

「子どもの権利条約」の特徴は、①子どもの最善の利益を主として考慮すること、②子どもを「保護」の対象とするだけではなく、子どもを「権利の主体」として認めている点にあります。

日本が「子どもの権利条約」を批准して約30年が経ちます。本シンポジウムでは、日本社会で「子どもの権利」が十分に浸透しているといえるのかについて検討します。

第2 子どもの意見表明権

子どもの権利条約第12条1項は、「締結国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」と定めています。

子どもの意見表明権を確立するということは、子どもが社会において多様な他者と対話・協議を行ない、自身の意見が尊重され、他者の意見を受け入れるといった経験を経て、自己の人格を形成することを意味します。そのためには、多様な他者との対話・協議を行える環境を用意することが必要です。その際、学校を中心とする学びの場・公教育が重要な役割を果たすことになります。

本シンポジウムでは、「子どもの権利」の中でも「子どもの意見表明権」に焦点を当てます。

第3 校則問題

学校では、合理的な理由なく生徒の人権を制限するような校則、いわゆる「ブラック校則」に関する問題が生じています。

ブラック校則は、一般社会からみて明らかに不合理なものであっても、これまで十分に問題視されてこなかったため、残り続けているものがあります。

現在、多くの学校でブラック校則の見直しに向けた動き出しが始まっています。

第4 学校・子どもの問題

ユニセフによる2020年度の調査によると、日本の子どもの精神的幸福度は、OECD加盟国38カ国中37位でした。また、文部科学省の2020年度の調査によると、不登校と認定された小・中学生は19万人を越え、過去最多を記録しました。さらに、 厚生労働省と警察庁による2021年度の調査によると、日本の19歳以下の自殺者750人のうち197人の自殺理由が学校問題にあったとのことです。

その他にも、国連子どもの権利委員会から、日本の子どもを取り巻く環境は「過度に競争的」であると何度も指摘されています。

本シンポジウムでは、こうした問題を解決するために行なわれている様々な取組みについてご紹介します。

第5 さいごに

本コラムをご覧いただきありがとうございます。少しでも「子どもの権利」に興味をもっていただけましたら幸いです。

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