離婚
離婚をしたいと思った場合、配偶者と話し合いをすることになります。
しかし、相手が離婚に同意しない場合もあり、また、離婚の際には取り決めるべき事項が多いため、なかなか話がまとまらない場合もあります。
そのような場合、弁護士が関わることにより、ご本人に代わって相手と協議をし、また、取り決めるべき事項(離婚条件)を整理して、円滑に手続きを進めることが可能となります。
離婚の手続の概要
離婚すること及び離婚条件について、夫婦双方が合意すれば何の問題もありません。
しかし、一方が離婚自体に応じない場合や離婚条件がまとまらない場合には、離婚の調停や裁判をすることになります。
そして、離婚の際に取り決めるべき主な事項には、次のようなものがあります。
- 財産分与・年金分割(夫婦が共同で気づき上げた財産の分割として)
- 親権者の指定・子どもとの面会・養育費
- 離婚の原因を作った相手方に対して慰謝料が請求できる場合があります。
- 相手方に対して婚姻費用の分担を請求することができる場合もあります。
詳しくご確認されたい場合は、法律相談センターにてご相談ください。
調停、裁判
相手方が離婚に応じない場合や、離婚条件について話がまとまらない場合には、まず、家庭裁判所に調停を申し立てて裁判所で協議をし、それでも協議がまとまらなければ、裁判に移ることになります。
裁判で離婚が認められるには一定の離婚理由が必要であり、例えば、単なる性格の不一致という理由だけでは裁判上の離婚はなかなか認められません。離婚が認められる理由は、民法770条1項に定められています。
<法定(民法770条1項)の離婚原因事由>
- 配偶者に不貞な行為があったとき。
不貞行為とは、配偶者以外と肉体関係(性交渉)を持つことを言います。 - 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
例えば、家庭内暴力、長期間の別居などが該当します。
調停・裁判も、弁護士に依頼せずに手続きを進めることは可能です。
しかし、ご本人だけで法的な主張を的確に組み立てることや、前述の様々な離婚条件を自分に有利なものとすることは難しいかもしれません。
弁護士が代理人となった場合には、お話し頂いた事実関係から効果的な法的主張を組立て、また、様々な離婚条件について妥当かつできるだけ有利な解決になるよう活動します。
財産分与
婚姻生活中に夫婦で築き上げた財産(預貯金、有価証券、不動産、退職金など)を離婚の際に分割します。
専業主婦で全く収入がなかった方でも、家事労働などで財産の形成に貢献したことになりますので、相手に財産分与を請求することは可能です。
相手がもっている預貯金などの財産が把握できない場合もあると思いますが、弁護士に依頼すれば、弁護士が財産調査を行ないます。
年金分割
年金についても、年金分割という制度が導入されましたので、この請求が認められれば、相手が年金受給開始年齢になったときから、その年金の一部を請求者が直接受給することが可能となりました。
ただし、分割の対象となるのは、基礎年金部分を超える厚生年金や共済年金などの部分の年金ですから、相手の年金が国民年金のみである場合は年金分割の請求はできません。
また、ご自身が厚生年金や共済年金などに加入している場合には、逆に相手から年金分割を請求されることがありますので、注意が必要です。
親権者の指定、子どもとの面会
親権者は、どちらの親が育てた方が子どもの成育にとってより良いか(子の福祉)という観点から決められます。
親権を得られなかった場合でも、子どもとの面会についての取り決めをしておくことが重要です。
養育費
養育費は、離婚する夫婦双方の収入状況や子どもの数・年齢などにより、その額が決まります(養育費算定表 裁判所ホームページ)。
残念ながら養育費の不払いは少なくありませんので、離婚時に公正証書や調停などで決めておくことが重要です。
慰謝料
配偶者による浮気や暴力などがあった場合には、相手方に慰謝料を請求できます。この慰謝料請求権は、離婚時から3年で時効消滅しますので、離婚時に慰謝料を決めておくことが大切です。
浮気については、浮気の期間や肉体関係を持った回数などの事情により慰謝料の金額が決まります。
慰謝料の金額は、事案によって様々な事情があるので一概にはいえませんが、100万円~200万円くらいが一般的です。
婚姻費用の分担
夫婦が別居中の場合は、収入の少ない方から多い方に対して、婚姻費用(生活費)の分担を請求できます。
金額の考え方は、離婚後の養育費と同様です。
DV被害から逃れたい
裁判所に申立てをして、DV加害者の接近を禁じる命令を得ることが可能です。DV加害者がこの命令に違反した場合、懲役や罰金といった刑事罰が科せられます。
Q&A
離婚について弁護士に依頼したら、すぐに裁判になるのですか?
あまり大げさなことはしたくありません。
離婚については、まず、調停をして、それが不成立にならない限り裁判をすることはできません。
また、ご希望があれば、調停をせずに、弁護士がご本人に代わり相手方と話し合いを進めることもできます。
したがって、弁護士に依頼したらすぐに裁判になるわけではありません。
先日離婚をしました。しかし、離婚届を出しただけで、養育費や慰謝料、財産分与などの取り決めをしていません。これから、養育費や慰謝料、財産分与などの取り決めをすることは可能ですか?
可能です。ただ、慰謝料については離婚時から3年、財産分与と年金分割は離婚時から2年が経過するとできなくなりますので、注意が必要です。また、時間の経過により相手方と連絡が取れなくなることも多いため、できるだけ早めにご相談下さい。
財産分与を請求したいのですが、家計の管理を相手に任せていたので、相手方名義の預貯金などの資産がどれくらいあるかわかりません。調べることはできるのですか?
弁護士は、弁護士会あるいは裁判所を通じて相手方名義の預貯金口座を調査することができます。調査の結果、多額の預貯金が判明することも少なくありません。ただ、預貯金に関する情報(何銀行の何支店に預貯金があるかなど)が全く分らない場合には、調査ができない場合があります。
相手方が養育費を支払わなくなりました。しかも、相手方が引越しをしていて住所も分りません。どうしたらいいですか?
まず、住所については、弁護士が調べることもできます。
養育費の支払を求める手続は以下のとおりです。
- 調停・裁判・公正証書により養育費が決められている場合
家庭裁判所による履行勧告・命令→強制執行(給与の差押えなど) - 当事者間で合意しただけの場合
養育費を請求する調停を家庭裁判所に申し立てる。
現在、養育費を支払っていますが、勤務先でリストラに遭い、失業してしまったため、これまでどおりの養育費を払っていくことができません。養育費を減らすことはできますか?
生活状況が多少変わっただけでは、養育費の減額は認められません。
ただ、養育費を決めたときには予想できなかった事情の変化が発生した場合には、養育費の減額を請求できます。ご質問のようにリストラで失業して再就職の見込みが立たない場合には、養育費の減額が認められることがあります。
減額を請求する方法としては、当事者間での話し合いや家庭裁判所での調停手続があります